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人生賞 伊藤龍之介40


40
東京タワーの最上階の展望台からエレベーターで100メートル下の展望台まで降りてきた龍之介は、初老の感じの良い紳士に眼が止まった。彼はこの自分の気持ちの高ぶりから来ているのか、自然に話しかけていた。
「夜景が綺麗ですね…」
そう切り出すと初老の紳士は少し話しかけられた事に驚きはしたものの、すぐ感じの良い礼儀の正しい挨拶を返してくれた。龍之介は大展望台での自分の意気込みを伝えたくてうずうずしていたのかもしれない。今はその紳士は定年退職をして、いろいろな景色を見回っているという。龍之介はこれからの自分の決意や、希望、ワクワク感等を織り交ぜた色々な事を話したくてたまらなかった。彼らは少しそこで世間話をした。
「この夜の光の一つ一つに生活がある。それらを見渡す為に、決意を固めるためにこの東京を、今いる世界を見る為に、この東京タワーにやってくる人も多いんじゃないですかね」
そういきまく龍之介を見て、紳士は眩しそうに寂しそうに彼を見ながら話を帰してきた。
「昔はね、こんな巨大なビルがニョキニョキはえてくるとは思わなかったんだよ。ただ、上昇志向。東京オリンピックとかね、何でもかんでも景気が良く、私たちはガムシャラに働いたんだ。そういう風に自分がしたい夢を追いたいと若い頃は思った事はあった。しかし、それが選択できない時代でもあったんだ。そういう時代でない事は今の不景気でも、若い子達は恵まれているといえるかもしれないねぇ。でも、かわいそうに思う事もあるんだ。今の若い子は夢を見ないで生きていける訳でも有るからねぇ。私は仕事があったから、自分のやりたい事を、今だから出来るんだがね」
彼はそういって笑った。龍之介ははっとした。初老の紳士はどこか楽しそうに笑っているのに、自分の残された時間を計りながら旅をしている。そんな気が心の中でした。龍之介は言いたかった。何か始めるのに時間は関係ない。あなたでも出来る事はたくさんあるはずですよ、と。しかし、言葉は出て来ない。それは人生の吸いも甘いも噛み締めた本当に含蓄のある言葉だったから。龍之介はまだ、何も成しえてない。決意して走りだした者と、夢とは別に自分の仕事をちゃんと完走しきった者。それを考えると自分がいかに恵まれていて、そしていかに走り出したばかりかと思った。いつか俺も年をとっていって生涯の目的を完走できたらあんな笑い方が出来るのだろうか。話してくれた礼を言い、彼は初老の紳士を後にしつつそう思っていた。



人生賞これまでのまとめhttp://jinnseisyou.blog112.fc2.com/blog-entry-78.html
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